人は不安定になるほど、
身体を固めようとする。
腹に力を入れ、
胸を張り、
脚を踏ん張る。
それによって、
身体を“支えよう”とする。
しかし本来、
人体は固定によって安定する構造ではない。
骨だけでも、
筋肉だけでも立つことはできない。
全身が互いに引き合い、
張力を分散しながら、
はじめて人は立っている。
だから身体は、
部分(パーツ)で支えるほど崩れていく。
肩だけで支える。
腰だけで耐える。
脚だけで踏ん張る。
そうした使い方は、
一部の緊張に依存し、
全体の連動を失わせる。
結果として、
呼吸は浅くなり、
感覚は鈍り、
動きは重くなる。
多くの人は、
「力を入れること」が安定だと思っている。
だが本当の支持構造は、
必要以上に力まなくても崩れない。
骨格が積み重なり、
筋膜が張り合い、
重力と釣り合う。
そこでは、
身体のどこか一箇所だけが頑張っていない。
全体が静かに支え合っている。
武術でも、
強い人ほど過剰に固めない。
無理に耐えず、
必要な方向へ張力を通している。
それは筋力ではなく、
構造で支えているからだ。
力みとは、
不安定さを隠そうとする反応でもある。
支持構造とは、
無理に支えなくても成立する身体である。
