痛みは、本来悪者ではない。
それは身体が生き残るために持っている、
大切な感覚のひとつだ。
熱ければ手を離す。
危なければ止まる。
無理をすれば警告を出す。
痛みとは、
身体からのシグナルである。
しかし不思議なことに、
人は動作中の痛みには不安になるのに、
ケアになると急に「痛い方が効く」と考え始める。
強く押す。
深く伸ばす。
硬い場所にボールを押し当てる。
そして、 痛くないと今度は
なぜか 「効いていない気がする」
「問題ない気がする」 と判断してしまう。
残念ながら、 痛みの強さと効果は比例しない。
筋肉が硬ければ、 触れた時に痛みが出ることはある。
けれどそれは、 身体が緊張しているからだ。
構造が崩れている。
無意識に支えている。
呼吸が浅い。
どこかに力みがある。
身体はそれを守るために、 あえて硬くなる。
つまり、 硬さには理由がある。
その理由を無視して、
ただ刺激だけを強くしても、
身体はさらに防御しようとする。
大切なのは、 「どれだけ痛いか」ではない。
身体が、 その刺激をどう受け取っているか。
呼吸は止まっていないか。
無意識に力んでいないか。
終わったあと、動きは自然になっているか。
痛みの捉え方もまた知識である。
気分や根性論ではなく、
身体の声に耳を傾けること。
それが、 本当の意味で身体を整える第一歩なのだ。
