ケアとトレーニング

·

·

,

身体はバランスでできている。

鍛えるだけでは、 身体は整わない。

強くした筋肉が、 別の場所を引っ張り、

無意識の緊張を増やしてしまうこともある。

だから身体には、

「鍛える」と同時に、 「抜く」という方向が必要になる。

構造を保つために、 正しい使い方を学習する。

これがトレーニング。

一方で、 無意識に入り続ける力を静かに外し、

余計な働きを止めていく。

これがケア。

現代人の身体は、 常に緊張しやすい。

考え続け、 力み続け、 止まれなくなっている。

だからケアの本質は、 強い刺激ではない。

むしろ、 小さな力で、 安心できる状態を作ること。

身体が「もう頑張らなくていい」と感じた時、

初めて深い部分の緊張はほどけていく。

そしてその“緩み”こそ、 武術の動作の基礎になる。

本当に動ける身体は、 力んでいない。

必要な瞬間だけ働き、 それ以外は静かで柔らかい。

武術とは、 力を加える技術ではなく、

余計な力を減らしていく技術でもある。

だから現代人に必要なのは、 殊更に鍛えることだけではない。

まず、 力み続けてしまう身体を、 静かにほどくこと。

ケアとは、 回復ではなく、

本来の動きを取り戻すための“土台”なのだと思う。